2022/02/28

吉村昭『破船』































強烈!


素晴らしい筆致!


昨年読んで非常に強烈なインパクトを残した『羆嵐』に続く2冊目を読了


吉村昭著『破船』/ 新潮文庫

本屋の吉村昭コーナーを色々物色する中で
これは面白そうだと前々から目を付けていた作品
1980~1981年に連載されていたみたい



いやあ、本当に素晴らしい筆致だ!

(筆致と言いたいだけ笑)


『羆嵐』の時もそうであったが
悲劇的な内容でありながらもエンターテイメント性を備えているところが
この作者の特筆すべきところかもしれない
もちろんそこにはドキュメント仕込みの力量の裏付けがあってこそ
(ただし、エンターテイメントとは言いながら今回もややトラウマ級の筆致)



- - -



物語としては

日本のどこかの漁民の寒村を舞台にした悲劇を綴った作品
周囲と隔絶しているその村では「お船様」と呼ばれる信仰があった
その信仰はまさに共同体の生命の存続に直結していて...

(詳しくはネタバレするといけないから書きません
 が、帯で既にネタバレさせているという狂気!笑
 なので、帯は外して撮影しました&下記の写真はモザイクを 笑)


隔絶された漁村という狭い世界の共同体の(ある種)運命を
九歳の伊作という少年を通して描く

フィクションでありながら重厚かつ繊細な筆致で
吉村昭の想像力と描写力がふんだんに発揮され
ドキュメントとしても風景がありありと思い浮かぶ強烈な1篇となっている


深みのある小説であるから
読む人によって様々な思いが浮かぶと思うが
私的には「"共同体の維持"ってやっぱそういうことだよなー!」と(軽いな笑)



- - -



もはや現代都会人たちにはわからないかもしれないが

かつての"村"などの小さな共同体においては
その共同体を途切れさせることなく持続させていくことが最優先課題であった


今は都会人として(私を含め)
「共同体なんて関係ないよ!共同体になんか属してなくたって生きていけるよ!」と思ってしまっているが
それは大きな勘違いで

共同体が数十万、数百万という規模、あるいは自治体規模、国家規模になっているから
共同体意識が薄くなっているというだけの話

それがまた、戦争や何かの弾みで都会が機能しなくなり
数十戸単位の共同体の世界に戻ってしまえば
その世界だけのルールが自然と生まれ
その中で生きていくしかなくなるだろう
この本と同じような運命にすぐ舞い戻るだろう




自分の"生"よりも 共同体の"生"を選ぶ

今の良くも悪くも"個人主義"的な日本の社会からすると考えられないことかもしれない

共同体に危機が迫った時
「数人でも生き延びてくれれば」と自分の命を投げ打つ
それがいいとか悪いとかの次元ではない
そうしないと共同体が滅びてしまうのだ

実は数千年、数万年と人類はそうして
自然や病や飢餓と戦い 生き抜いてきたはずで

やはり人間は自然を前にすれば
寄り集まって生きていくしかない
か弱い生き物でしかない




そう、この小説にも出てくるように
かつて、共同体の運命を左右するものの大筆頭が「餓え」だった

それは自然の持つ強弱のリズムであり
人間の力でどうこう出来るものではなかった
自然が優しい時もあれば厳しい時もある

そこをどう乗り越えていくか?
人類の数限りない努力の中で
今の"できるだけ自然に左右されない"文明社会が築かれた


ただし少し翻って考えてみると
我々のこの豊かに見える現代社会は
ただ単に「餓えの解消」によって成り立っているに過ぎない

何かの弾みで戦争で散り散りになって
また飢えと戦わなければならなくなった時どうなるか?と考えると
私はこの寒村の"特異な"風習を責められない



当たり前過ぎるけど
いや、当たり前過ぎるから忘れてしまっているけど

食料=生命の維持=共同体の維持

であり すべて密接不可分のものなのだ
(だからこそ食料自給率の低い日本の脆さが懸念される)



私の好きな水木しげる先生も「描いた作品が売れなきゃ即ち餓死ですよー!」と度々仰っていて
戦後生まれの飽食の時代しか知らない人間からすると
「水木先生、また面白おかしく大袈裟に言って~(笑)」とたしなめがちだが

戦争中に餓えや餓死が鬼気迫るものとして現実に存在していた先生からしてみれば
それは真実の叫びであったろうし、生涯を貫く原動力にもなったはずだ
ひいてはそれが先生のワーカホリックとも言える漫画家人生を決定づけた


、、、と話が逸れたが

そうした"餓えとは?"や"共同体の運命とは?"を疑似体験出来るという意味でも
非常に素晴らしい作品だと思うな
amazonで高評価なのも当然の作品だ


























と、言うわけで吉村昭氏の次読む作品ももうすでに買ってある(笑)


お次はこれまた評価の高い

『漂流』

だ!


『破船』の3倍くらい分厚いから
きっと読み応えあるぞーっ
わくわく

2022/02/27

岡村孝子『DO MY BEST』Ⅰ&Ⅱ























あ~ 岡村孝子さん いいですねえ(笑)


毎週私が聴いている石井竜也のラジオにゲストで出演していて気になったので聴いてみた
もちろん名前は知っていたけれどきちんと聴いたのは初めてだな
「待つわ」の大ヒットで有名なボーカルデュオ「あみん」の人だったのだな~

まだ揃えるのは怖いから、とりあえずレンタルで(笑)
ベスト盤『DO MY BEST』&『DO MY BESTⅡ』
どちらも2枚組なので盛りだくさん

いやあでもいい曲いっぱい入ってるなあ
いい意味で変な毒がなくていいな
それでいてしっかり人としての芯がある感じ

『DO MY BEST』Ⅰの方は
何だろう、安田成美のナウシカの曲とかあの辺の時代のサウンドでとても良い
ラピュタの「君をのせて」あたりにも近いかな
でも岡村さんはもっと前から歌っているから、あの時代特有のサウンドなのだろう

全盛期(というと失礼かな?)当時は"OLの教祖"とも呼ばれていたらしい
私もこう見えてOLの端くれであるから、共感できるのです(笑)


いっぱい入ってたからのんびり聴いていこうっと

2022/02/22

『鉄道員(ぽっぽや)』


さあ『ミリオンダラー・ベイビー』を観よう♪

と宣言しておいて、なぜか『鉄道員(ぽっぽや)』を借りてきた私(笑)
なんかこの季節にふと見たくなってしまってね
前から観ようと思ってはいたんだけど

何だろう冬は雪の映画を観たくなるよね
雪見大福じゃないけど、冬にアイス食いたくなる現象というか(笑)





















『鉄道員(ぽっぽや)』降旗康男監督
浅田次郎の直木賞受賞作を原作にした1999年の映画
高倉健主演で映画化され、志村けん、広末涼子らも出演した
言わずと知れたヒット作品



早速観てみました♪


が、、、


ええと、、これは、、(苦笑)



(以下、正直で辛辣な感想が始まります笑)



いやあ、名作って言うから
もっと静かな映画かと思ってた

そして、てっきり高倉健と志村けんがガッツリ絡むのかと思いきや
志村けんもチョイ役と言ってもいいくらいで、凄くもったいないなあ



まず

色々盛り込み過ぎ
登場人物多過ぎ
メインの役者さんの芝居がクサ過ぎ、観てて途中一瞬コントかと思った
(小林稔侍の演技が始まった時点で、ああ、これはヤバいかもしれない...と思ってしまった笑)
雪景色や列車たちの映像は良いのに、なんかシーンが多過ぎてコント集みたいになってしまってる


健さんは健さんなので良いとして
とにかく全体的に芝居がクサ過ぎて最後まで入っていけなかった
それぞれ名前と実力のある役者さんだろうから
演出とか脚本の問題なのかな~
(唯一『キッズリターン』の安藤政信だけが自然だった気がする笑)


志村けんのコントを多少なりとも好きで見てきた者としては
もっとコント仕込みで培った演技力で渋~い演技をやっと披露できるのかと思いきや
(あの人時代劇の演技とか相当真面目に好きそうだったからね)
結局コントみたいなシーンで起用されてただけで、もったいないし残念...

チャップリンじゃないけど、喜劇役者の悲哀みたいなのが骨の髄まで沁みてる人だと思うから
変に演技みたいのさせなくても、いい芝居をする役者になったんじゃないかと思うんだけどなあ
(コロナ禍の中で亡くなって主演予定だった映画も叶わなかったからそれもまた残念)



あれだけ良い自然風景があるんだから
高倉健と志村けんと、もう1人誰かで
3人くらいにメインを絞って(広末涼子は...う、う~ん、どうだろう?苦笑)
登場人物も人間関係もセリフももっと減らして
もっと内面を掘り下げるようにすれば深みが出たと思う

折角 北海道の冬景色やとSLの汽笛の詩情溢れる素晴らしい映像があるんだから
行間を読むように もっと文学的・詩的な冒険をしたら
本当の名作に化けたかもしれない

健さんは喋らなくても画になるんだから
寒い時にわざわざ「しばれるな~」とか言わせなくていいんだよ
映像と表情とかで観てる方は分かるんだから

説明させ過ぎ 語らせ過ぎ で結局観てるものを興ざめさせてしまう日本映画の悪い癖
要するに観てる方の感性を信用してないんだよ 下に見てるんだよな
なんか万事が万事そんな感じ


重厚になり切れずに
微妙にファンタジーに逃げるような
そんな日本映画の弱いところが出てたような気がする
まあ、原作ありきみたいだからストーリーはしょうがないんだろうけど

あと、人が死ねば感動すると思ってるところも良くないな

あと、「ぽっぽや」「ぽっぽや」みんな言い過ぎ(笑)
溜めて溜めて"ここぞ!"という時に1回だけ「俺はぽっぽやだから...」って言った方が効いたんじゃないかな?
高倉健というキャラクターとも相まって

あと! 最後のシーンは「ええええ~~!」ってなったのは俺だけではない、と信じたい(笑)



エンドロールの歌が「お、ちょっと良いいな」と思ったけど
奥田民生作詞 坂本龍一作曲 坂本美雨歌
とクレジットが出てちょっとゲンナリした(とんだトバッチリ笑)





















以上、すべて敬称略
大して映画を観ていない人間の"知ったか"映画批評でした(笑)

ホント"演技する"って難しくて奥が深いことなんだということを
改めて分からせてくれる、そんな映画でした



いやあ、『ミリオンダラー・ベイビー』にしときゃあよかった(笑)
でも一度は観たいと気になってたから今回観れてよかったな

2022/02/17

クリント・イーストウッド『荒野の用心棒』

『ミリオンダラー・ベイビー』が誰かレンタル中だったので
予定を変更してクリント・イーストウッドの西部劇時代のものを1本



















うわあ
オープニングのキャストの名前シーンがもうカッコイイ!(笑)

しかもこのテーマ曲
出川の"充電させてもらえませんか"のアレじゃないか(笑)
ああ!しかもこれもエンニオ・モリコーネなのか!

という発見の驚きも混じりつつ
最後まで面白かったなあ
西部劇っていうからもっとシンプルなストーリーかと思いきや
結構ちゃんと観てないとやや複雑なプロットだった(笑)


クリント・イーストウッド主演
『荒野の用心棒』
セルジオ・レオーネ監督 / 1964年イタリア


いわゆる"マカロニ・ウェスタン"をちゃんと見るのはこれが初めてだな
("マカロニ・ウェスタン"=スペインなどで撮影されたイタリア製の西部劇)
黒澤明の『用心棒』の翻案なんだけれど、『用心棒』が行きつけのTSUTAYAになくて未見だ
翻案と言うか実際は盗作で後で訴えられている、とのこと(笑)
でもちゃんと黒澤映画の重厚さや魂もきちんと受け継いでいるから、ただの二流のパクリなどではなく、
西部劇の名作として語り継がれているのだろう



















"adios amigo" という言葉が出て来たり(ラモーンズのラストアルバムのタイトルは『Adios Amigos』だ)
敵の名前が "ラモン" だったり(ラモーンズの名前はポール・マッカートニーが昔ステージネームにラモーン姓を名乗ってるところから来ていて、もしかしてポールはこの映画から?)

ちょっとパンク・リスナーには妄想が膨らむ映画だ




















カッコイイ人が着るとポンチョもカッコイイ
あと1964年の映画だけど画質も年代を感じさせながらもキレイで見やすく生々しくて良かった


それはそうと
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』は
このセルジオ・レオーネ監督の作品だったのか
気になっていた作品だから近々観てみたいな

でもその前に『ミリオンダラー・ベイビー』だ(笑)



あ、あと手前味噌ながら
映画中で流れた、メインテーマのギターアルペジオから始まるバージョンが
日本カセットテープクラブの作品No.104「ヌーが布団の中で泣き叫ぶ夜」のアルペジオに似ていて、ああ俺はもはやエンニオ・モリコーネとほとんど互角かちょっと上だったんだな、と改めて思った次第

(嘘!んなわけあるか笑)

2022/02/16

般若心経























ふと思い立って般若心経の写経を始めてみました(笑)

や、別に仏様にすがろうというというわけじゃなく(笑)
題材は何でもいいんだけど、字を丁寧に書くのにちょうどいいので

書道セットを使うような堅苦しいもんじゃなく
ノートにサインペンで見様見真似で書いていくだけのもの
裸眼で目のトレーニングも兼ねてね


このコンピューター社会、字を書く機会は減っていく一方だけど
やっぱ"字を書く"って行為は脳の活性化にも繋がる気がするし
とりわけ もう意識しないと"丁寧に"は書けないから自然と集中力も高まり
精神の統一にもいいと思うんだ

できれば朝起きて午前中にやって いい1日のスタートを切る取っ掛かりとなれば
って思ってるけど続くかどうかは仏のみぞ知る(笑)

最終的には般若心経がスラスラ全部言えるようになれれば面白い



こうやってノートに字を書きまくってると
代ゼミの浪人時代を思い出すなあ(笑)

あの時ぐらいの頑張りや気合が今の私には必要だ

2022/02/01

クリント・イーストウッド『許されざる者』


重厚!



















『許されざる者』
1992年公開 アメリカ

クリント・イーストウッド最後の西部劇
アカデミー賞 作品賞受賞作品


-あらすじ-
かつての残忍な悪党が、娼婦の懸けた賞金を得ようと、昔の仲間や若いガンマンと共に最後の追跡の旅に出る。
(中略)銃の腕もおち、馬も巧みに乗りこなせなくなった彼が、生活のための金稼ぎから転じて、"伝説の男"として甦る姿が身震いするほどスタイリッシュに映し出される。仲間を殺され、復讐鬼と化した主人公の問答無用のガン・ファイト!(amazon解説文より抜粋)




風呂も入って、さあ観よう!

と再生したら、、






















じ、字幕が読めねえ、、、



何だこれ
文字の中身と輪郭が同じ色で
モコモコになって読めねえじゃねえか、、
そういや前にも1回こんな現象あった気がするが、、



今すぐ観たいのに~!!

と、プレーヤーの設定をいじくり回してもダメで
(ちなみに私はノートPCに外部CD/DVDプレーヤーを繋いで、ネットから無料ダウンロードした再生プレーヤーソフトでいつも観ています。VLCってヤツ)

何をやってもダメで
仕方なくネットから別の無料プレーヤーをダウンロードして再生してみるも、やっぱり同じで
結局、このワーナーのDVD自体の問題、ということに結論付けました(笑)
(ただネットのレビューとかにもこんなクレームは見当たらないので、俺のPCとの相性なのかな?)






















これぞまさに

許されざる字幕




、、というわけで、スッタモンダした挙句
予定より4~50分遅れぐらいで(笑)
仕方なく日本語吹き替えで視聴開始~!


ってクリント・イーストウッド
声ルパンじゃん(笑)

なんかイメージと違う、、、


いや山田康雄さんが悪いわけじゃない
イーストウッドの声で見たかったの(笑)
でも観ていくうちにルパン声も全く違和感なくなってたから、山田さんさすが!(どっちだよ笑)


ただ、この映画
夜の黒いシーンが結構多くて、、
画面も黒が多くてDVDぐらいの色味の解像度だと
みんな同じ黒で何だかよくわからん(苦笑)、、ってシーンが多々あった
夜の深い暗さ と 明るい陽射しの荒野 のコントラストがもっと本当は素晴らしい映像なんだろうな~と思えてしまって、、

だからこれ、元のクオリティで、映画館で観たかったな~


と、すいません
このDVDの品質の文句ばかり並べてしまいました(笑)























(※以下ちょっぴりストーリーネタバレ)



『許されざる者』

何を"許されない"のか?
原題だと『UNFORGIVEN』

"FORGIVE" は "許す"
「神はお赦したもう」の"赦す"の意味だろう
"神により生前の罪はすべて赦されて天国に行けますよ"ってヤツ
つまりは"UNFORGIVEN=赦されない" → "地獄行き"ってことだな
(映画中のセリフからもそれが分かる)


金のため(主人公たち)
はたまた、己の信じる正義のため(保安官)

どれだけもっともらしい理屈を並べたところで
銃口を人に向けて 引き金を引く奴らは
ただの"人殺し"に過ぎない

そう "人殺し"は全員"地獄行き"だ


そんな強いメッセージを感じたな
人を殺すことの"業(ごう)"というか

西部劇のガンマン役で世に出てきたクリント・イーストウッド
まさに西部劇に引導を渡した、西部劇の集大成と言って間違いないだろう

ガンマンをカッコいいものだなんて勘違いするなよ、と
ガンマンなんて所詮ただの人殺しだ、と
だからクリント・イーストウッドはカッコいい
(それはヤクザ映画でヤクザをカッコ悪く情けないものとして描く北野武と同じカッコよさだ)


あと、もっと言えば
人を人とも思わない人間(物語の発端となる牧童2人や売春宿店長)も"地獄行き"だ


ドンパチやってスカッとする西部劇と言うよりも
重厚な大人の西部劇だったな

アカデミー賞を受賞したのも当然だろう
























さらに遡って
まだ観ていない『ローハイド』(はテレビドラマか...)とか
『荒野の用心棒』や『夕陽のガンマン 』とかの
イーストウッドの西部劇を観たくなった

あ、でも
次に見るのは『ミリオンダラー・ベイビー』が予定されております(笑)
こちらもアカデミー賞受賞のクリント・イーストウッドの代表作

乞うご期待ください、俺(笑)