アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』
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昨日読了
アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』
ハヤカワ文庫(クリスティー文庫) / 中村妙子(訳)
ネットのAERA DIGITALで連載されていて
私がけっこう更新を楽しみにしている(笑)鴻上さんの人生相談
その中で紹介されていて
面白そうだったので読んでみた
私でももちろんその名前だけは知っている
"ミステリーの女王" アガサ・クリスティー
(本屋さんでたまに眺めるハヤカワ文庫のSFの棚
視線を少し横にずらすと、真っ赤な背表紙の"クリスティー文庫"の本が眼に入る
その作品の多さにいつも「すげえたくさん書いてんな!」と驚くばかり 笑)
読むのは初めてだったけれど
これはいわゆるサスペンスなミステリーではないし
そもそも、別名義のメアリ・ウェストマコットという変名で発表された
"ロマンス小説"と分類される作品の1つだそうな
1944年の作品だそうだから、今から実に80年以上も前の作品
とは言え、全く古くささは感じないし
めちゃくちゃ読みやすい
早川書房のサイトの解説文をコピペさせていただくと ―
優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバクダードからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる……女の愛の迷いを冷たく見すえ、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス(解説 栗本薫)
いやあ、とても面白かった
けっこう一気に読んでしまった
今風な目線で見て「"毒親"の話」と言ってしまえば
もちろんその通りなんだけれども
それよりももっと、人間の、普遍的・根源的な
"コミュニケーションの難しさ"
"コミュニケーション不全"
"信念や思考・固定観念・習慣を変える難しさ"
"(主に悪い意味での)人格・性格の変わらなさ"
といった面を浮き彫りにした物語
それこそ、人間誰しも当てはまる話ではあるわけで
そういう面から見ても、ある種
サスペンスよりもサスペンス!
自己の「"真相"に迫る」という面では
ミステリーよりもミステリー!
黒澤明監督『生きる』のオチに近い感じもあるけれど
あれよりはもう少し希望があるかな?(笑)
栗本薫さんという方の書かれている解説もまた面白く
一人ひとりの中でも色々な解釈が出来る作品でもあるし
また、読み手がどう生きてきたかによっても受け取り方が変わるような
そんな多面的な作品とも言えるかもしれない
やはり、人間は荒れ地で自分に出会うのかもしれない
読みやすくて面白いのでオススメデゴザイマス♪
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