『ゆきゆきて、神軍』
あの戦争に負けて36年後の日本
平和を享受するその日本で
横井庄一さんや小野田寛郎さんとは違う形で
戦争を継続し続けた男がいた、、
その名も奥崎謙三

『ゆきゆきて、神軍』
原一男監督 / 1987年作品
YouTubeが公式で色んな映画を無料公開しているのは知っていたけれども
こちらも現在 無料公開中との情報がXのポストで流れてきて
いい機会だ ほんじゃあ観てみんべえ、ということで鑑賞
そのブッ飛び方に
サブカル方面の方々がこぞって絶賛してたのは知ってたけれど
わたくし、こう見えても
サブカルどっぷりではないので(笑)
あえて観ようとは思わなかったのです
観たい方はこちらのYouTubeページへ♪
(チャンネル登録者数1.98億人ですって笑)
作品のあらすじや解説はネットに腐るほどあると思うので
そちらをお読みくださいということで
省かせていただきまして、、(笑)
~ 以下、ネタバレ気味の感想になりますので、イヤな方は鑑賞後にお読みください m(__)m ~
なるほど~、こういう映画だったのか
エンドロールで流れていたが
企画は今村昌平なのか!
キワモノの映画かと思ったら
主人公の奥崎謙三がある種のキワモノなだけで
ドキュメンタリー映画としては
ストレートで観やすくキワモノではなかった
ただ、ちょいと令和の青少年には耐えられないかもしれないな(笑)
開始早々に登場する
マッドなカスタムが施されたスーパーカー(笑)
ヒーロー気分を高めまくってたんだろうな
というか、本人は勧善懲悪のヒーローのつもりなんだろうな
いまだに
パンチの効きまくったドキュメンタリー映画として
紹介されることの多い本作
「あれはドキュメンタリー映画ではなく、劇映画だった!」
後にそう語っているのは原一男監督ご本人
作った監督自身ですら
当時はもちろんドキュメンタリー映画のつもりで撮っていたし
完成した時もそのつもりだった
ただ、30年経ってようやく
これが劇映画だったことに気付いたようだ
その境界を混乱させているのが
この奥崎という男の人間性・特殊性なのは間違いないだろう
要するに "芝居がかった男" なのだ
監督自身も奥崎謙三のやってることの本質は"テロリスト"とも言っているように
狂信的なテロリストは
どこかナルシストであったり自己陶酔的な側面があるもので
己を信じ切ってブッ飛んだ行動をしてしまう
(実際、この映画の後に殺人未遂で捕まり、またムショ行きになっている)
それは、このフィルムに焼き付いた奥崎氏の言動からも感じられるし
カメラを意識し振る舞っている(=演技の)部分も多々あったようだ
"神になりたい" "教祖になりたい" というのも氏の本心のようだし
そのあたりの"劇映画"として捉えることの見解を
監督自ら語っている動画もあるので
映画を観終わって興味がある方はこちらも是非どうぞ
よりこの映画を深く味わえます(笑)
裏話と言えば裏話なんだろうけれど
それを聞いてはじめてこの映画が多角的に理解できるだろうし
裏を明かされたからといって
この映画の魅力が減ることもないだろう
ただ、
「ドキュメンタリーなのか?劇なのか?」
その境が非常に曖昧になってくる本作においても
紛れもないドキュメンタリー と言えるシーンが含まれていて
それは、奥崎氏に糾弾(時に暴力を加えられる)されまくる元軍人たちの反応
むしろ
そうした、奥崎謙三以外の元軍人たちの素の反応の方が
真のドキュメンタリーとして素晴らしいし
映像として、歴史として、かなりの史料価値も生んでいるだろう
(まあその反応を引き出せたのも、この狂気じみた糾弾があればこそ
というのも皮肉な話だが)
特に、中盤とクライマックスで出てくる山田さん(気の毒すぎる笑)
中盤の入院中の病院にまで押しかけて
術後で弱っている山田さんを糾弾する奥崎氏の外道さよ
ただ、クライマックスでポツポツと独白するシーンが
この映画を類マレなものにしているのは間違いない
あの感じは役者さんにはとても出せない気がする
ドキュメンタリーの真髄 があのシーンにある
ドキュメンタリーの真髄 があのシーンにある
そもそも生まれついての変態でもないのに
誰が好き好んで人肉など食うか?
地獄で、自分が生き延びるために行った行いを
誰が責められるというのか?
戦争がなければ
普通の日本人として人生を終わるはずだった彼ら
そこまでの極限状態に人を追いやる
それこそが戦争や戦場のむごさだし
その極限での選択は(普段は気付かないだけで)誰もが内包している可能性がある
これは決して他人の話ではなく
誰にでも起こりうる話なんだということ
この"劇映画的"ドキュメンタリー映画の
本当に受け取るべきメッセージはそこだと思う
監督のインタビューからも分かるように
そもそも奥崎氏は"戦争"をテーマにすることに乗り気じゃなかったそうで
監督の手腕もあり、だんだん"ノセて"いくことであの仕上がりになったみたい
そう考えると、奥崎氏も
戦争にかこつけて
自分のヘキ(癖)というかドグマというかルサンチマンというか
そうしたものを爆発・発散させている面はかなりありそう
旧日本軍において
上官に殴られる兵隊は山ほどいるけど
上官を殴る(奥崎氏本人曰く)兵隊はそうはいなかっただろう
まあ(大多数の日本人からすると)ある種の変人であり
集団の中ではうまくやっていけないタイプの人間に感じた
持ち合わせているアナーキーでエキセントリックな人間性が
地獄の戦場体験により開花したというか、加速させられたというか
(1300名いた部隊のうち、生きて帰れたのは100名だとか)
ただ、戦争がなくてもある程度エキセントリックな人生を送ったと思うし
遅かれ早かれ人生のどこかで問題を起こす人にも思える
そもそも、最初の刑務所行きからして戦争と関係なさそうだし
(金銭トラブルから不動産業者を刺して死亡させ傷害致死罪で懲役10年)
その辺り(収監中とか?)で、まともな人生を捨て
今で言うところの「無敵の人」で行こう!と決めた瞬間があったのかな?と邪推
そして、
戦後の平時に人を殺した人間が
(終戦間際なのか数日後なのか真相は曖昧だが)戦地で人を殺した人間を
(傍から見ると"嬉々として")責め立てる、という大いなる矛盾!
神とか言っちゃってるし、
それを言ったら、"天皇"という神の名の下に歯止めが効かなかった戦時中と
あんたがやってることは変わらんじゃないか
それに、そもそも
この映画のメインストーリーとなる"敵前逃亡"や"人肉事件"において
奥崎氏は別に 当事者じゃないのだ
確かに大きく見れば同じ部隊での事件だったりするのだが
直接関わったこともなく、監督から話を聞かされた上での行動のようだ
だからこそ、糾弾する際の勧善懲悪ヒーロー的振る舞いが際立つ
もちろん
戦場の物語は、当事者が亡くなっていることが多いだろうから
当事者以外が伝え聞いて作品に残す、というのもとても大切なことでもある
(水木しげる先生のかの戦争漫画の名作『総員玉砕せよ!』もそうだ)
その他、感じたことを箇条書きで簡単に(笑)
・そもそも昭和天皇にパチンコ撃って何がしたかったんだろう?
・この奥さんもいったい何者なんだろう?
すげえどっしり構えてて
この人が一番すげえんじゃないか?と思ってしまった
ブッ飛んだロッカーと結婚する奥さんの方が
よっぽど旦那よりロックなんじゃないか?と思う時があるんだけど
(内田裕也における樹木希林しかり)
この奥さんもまさにそんな感じ
「自分の意志で 平気な顔して
ヤバいヤツと一緒にいる(いられる)ヤツが一番ヤバい」説(笑)
・あと、数々のきわどいシーンを
冷静に撮り続ける監督たちもやっぱりヤバいぜ(笑)
ドキュメンタリーものを撮れる人はやっぱりちょっとブッ飛んでるんじゃないかな
・鳥肌実の芸風との関連性はいかに!?
・前情報なしで観た人とはまた見方も変わってしまうのは致し方ないけれど
当時リアルタイムで観た人たちはさぞかしビックリしただろうな(笑)
~ ~ ~
、、と、長くなっちゃいましたのでこの辺で(笑)
原一男監督が今作を作る上で意識したという
深作欣二監督の『軍旗はためく下に』
これもいずれ観たいな
そして、、
戦争ものと言えば
新作映画も控えていて
2か月先、9.11公開(この日付もまた暗示的な数字だな笑)の
塚本晋也監督の『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』
ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソン氏のノンフィクションを原作とした映画で
日本人(しかも塚本監督)がベトナム戦争を描く、というかなり期待大の作品
、、と言ってるものの
塚本監督の代表作の1つでもある『野火』もまだ観ていない私は
映画ファンを名乗るのもおこがましいであろう(笑)
今回の『ゆきゆきて、神軍』と同じく
"戦地でのカニバリズム"を扱った映画だ
これもいずれ観なければならぬな
あと、YouTube関連動画で
同じ"YouTubeの映画とテレビ番組"チャンネルに
『地雷を踏んだらサヨウナラ』も無料でアップされてるようだ
タイトルは聞いたことあるから、ちょっと観てみたいな
以上ですーっ!










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