『水木しげるのラバウル従軍後記-トペトロとの50年』
3月8日で生誕100周年を迎えられた
私の心の中で生き続ける、水木しげる大先生の新刊
『水木しげるのラバウル従軍後記-トペトロとの50年』
中央公論新社
久々の水木しげる本の購入
新刊と言っても
昔発売された作品の完全版
水木先生が戦地ラバウルで片腕を失い生死の境をさまよったのは有名な話
そこでは日本軍が地獄の苦しみを味わう一方で、現地人(水木先生の言葉では"土人"=文字通り"土とともに
生きる人"であり差別的な意味はない)が自然とともにのんびり暮らしていた
それは青年だった水木しげるにとってまさに地獄の中で見た極楽だった
そんな彼らと交流し、受け入れられ、助けられ、地獄から生きて帰って来ることが出来た
そんな現地の当事者、トペトロ少年や美人のエプぺ等との
出会いから別れまで、長年に渡る交流を1冊にまとめたもの
交流と言っても、現代日本人の感覚のように
数年に1度会って飲み食いして、、とかではもちろんなく
数十年会わなくても薄れることのない、心の交流というか
水木青年が初めて現地人の村に行った時
ニコッと笑い合っただけで、言葉が通じなくても分かりあえた
そんなコミュニケーションの極意から始まっているからこその付き合いなのだろう
しかしそんな自然の極楽だった、水木先生の"心の故郷"も
物質社会の近代化の波を受けたり、挙句の果てには火山で壊滅し
村人たちも四散するという諸行無常っぷり
戦争も爪痕を残すが
かと言って自然も容赦ない
地球上に現れたほんの束の間の極楽に
水木青年は出会えたのだろう
一番必要な時に 一番いいタイミングで
今はホントの極楽で
のんびり絵でも描いていらっしゃるだろうか?
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