『都市と星』


いやあ面白かったね

『都市と星[新訳版]』
アーサー・C・クラーク / ハヤカワ文庫

10億年後の地球
人類はある種、時の止まった楽園に暮らしていた

自然から隔絶され 完全に制御された人工都市=ダイアスパー
中央コンピューターのプログラムによって生み出される"人々"は
成人のまま生まれ出て、時をまたぎながら何千年、何万年と生き続ける

人々はまるでこの都市だけが世界のすべてであるかのように暮らし
都市の外に思いを馳せることに恐怖すら覚える

ただし、そんな世界で主人公の少年アルヴィンだけが違った
どうしても「外」の世界を気にせずにはいられない

自分でも分からない衝動に突き動かされ
少年は様々な世界と出会っていく、、、


ダイアスパー以外の世界とは、、?
かつて築き上げた銀河帝国が崩壊し
なぜ人々は人工都市に10億年も引きこもってしまったのか?

クラークの得意の"宇宙の歴史" "進化の極限"を交えつつ
外の世界へ憧れる少年を描いた"ジュブナイルな少年冒険もの"
と言ってもいいかもしれない


1956年に書かれた"SFの古典の傑作"と呼ばれる作品

ガジェットや未来予想の見せびらかしで終わるのではなく
そこに普遍的な人間性などを織り込んでいくから
この人の作品は決して古くならずに時代を超えて読まれるのだろうな

進化の行きつく先に"芸術が残る"ことや
(仏教的思想以外の)"宗教への嫌悪"など
俺と考え方が近いことも楽しめる要因かと思う


ああ、他の作品も読んでみたくなってきたな


(諸星大二郎の短編では、"外の世界を渇望してやまない主人公"がたまに
 出てくるのだけれど、この辺のクラーク作品と近いものを感じる )

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