Giorgio de Chirico



汐留にあるPanasonicミュージアムへキリコ展
『ジョルジョ・デ・キリコ -変遷と回帰』 を見に行く。
寒波が近づいてるだとかで、ようやく冬っぽくなってきた日の午前11時過ぎ。
程よい人の入りと、程よい展示作品数と、程よいチケットの値段。
(ちゃんとネットで100円引きのクーポン券をプリントアウトして行ったので900円である 笑)

この前の美術展で1枚見ただけなので、きちんと見るのは今回が初めて。
形而上絵画を描き、後のシュールレアリズムの祖とも言うべきキリコ。
不思議な絵たちには、マネキンやアーチや、ちくわぶ、、じゃなかった神殿の円柱が
繰り返しか描かれていたりして面白かったなあ。
晩年になってさらにヘタウマとも言えるなんとも言えない絵になっていた。

解説なんか読んでも、
その独特な遠近法の使いかたからか、やたらと “見るものに不安を感じさせる” とかあるが、
そんな風には全然感じなかったな。むしろ心地よい空間に思えた。心地よい孤独というか。

ともすると一発ギャグになりかねないシュールな絵画の世界。
やっぱりそうならない画家には信念と技術があるんだろうな。

会場で流れていた2種類の映像も興味深かった。
いかにも批評家チックなフランス人インタビュアーによるちょっと意地悪な晩年のインタビューにも
「私は幻想家ではない」「私は普通の人」「いま幸せだ」などと
インタビュアーが予想してたのと随分違う答えが返ってきたようで面白かった。
キリコの人柄などはまだよく知らないけれど(毒舌家であったらしいが)、すごく本音のような気がする。
“画家=奇人変人であるべし” っていうのも結構なテレオタイプだよね。
変人じゃなきゃ変な絵が描けないわけじゃないからなあ。

もう1本の映像では、
「私の形而上絵画を本当に理解しているのは世界で2,3人ぐらいしかいない」と言っていたりする。
幻想的な絵を描けば寄ってたかって批評したり意味を探したりする。
これはただの俺の想像だけれど、
キリコは「たかが絵じゃないか」なんて思ってたりしてたんじゃないかな。
“たかがロックンロール、されど、、” と同じようなもんで。
「見たままを楽しめばいいんだよ」と。

そんなことを思った美術展。
写真は例によって購入した図録。2500円。

あと、やはり諸星大二郎先生は彩色などに結構影響を受けてるんじゃなかろうか。と、思った。

次は来年3月のマグリット展だな。

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