荒川区散策【吉村昭記念文学館】@ゆいの森あらかわ


















ちょうど3年ほど前に
その著作『羆嵐(くまあらし)』を手に取ってから
順調に私の本棚に増えつつある作家=吉村昭氏

氏の生まれ故郷である荒川区に
常設の文学館があることを昨年知り
これはいずれ行かねばなるまいと思っていたところ

ちょうど桜の季節がいいじゃないか
それにその頃には、氏が当時入れ込んでいた
"ボクシング"の特設展示コーナーもあるという


てなわけで、今日という日に狙いを定めて
向かった先は、荒川区立図書館が入っている"ゆいの森あらかわ"
という施設内に併設された"吉村昭記念文学館"

ロバート秋山先生的に言えば "区がやってる" 施設だ!(笑)



東京メトロを使えば多少短い時間で行けるのだが
せっかく花見がてら行くんだから
都電荒川線にたっぷり乗ってみようじゃないか!

というわけで
朝も早よから家を出て

山手線の大塚駅で
都電荒川線(通称「東京さくらトラム」)に乗り換え
そこから22駅、実に40分ちょっとの都電の旅だ

と言っても
駅と駅の間の距離はバスみたいなもんだから
そんなに距離があるわけじゃないけれど

"ゆいの森あらかわ"があるのは「荒川二丁目」駅なんだけれど
あえてその3つ先の終点「三ノ輪橋」駅で降りて散策しながら向かう
(道中のサイゼリヤで昼飯挟みつつ)























ぐずついた天気が続く今年の花見シーズン
今日は特に湿度が高くなんだか蒸し蒸していたな

そして都電は沿線のお年寄りの足になっているようで
午前11時前後だったけど結構混んでいた(笑)

停車駅ごとの車内アナウンスの音声テロップも
各駅にある病院の宣伝ばっかりだった(笑)
病人運搬列車かと思ったぜ



















雰囲気があってとてもいい
終点の「三ノ輪橋」駅

都電は 電車とバスの"合いの子"みたいな感じだな

















たどり着いた
こちらが "ゆいの森あらかわ"

その2階と3階に
吉村昭記念文学館としての常設コーナーがある

4月17日までは『吉村昭とボクシング』と題した
トピック展示が行われている

(そのため今回私は、氏が初めて芥川賞候に選ばれた作品で
 ボクサーを題材にした小説『鉄橋』も読んでから向かった)

同じく荒川区出身である
日本人初の世界チャンピオン
白井義男先生のパネルもあった





















中はなかなか見応えのある内容で
吉村氏の作家人生を各ジャンルに分けて紹介してあり
とても見やすい展示だった
(ちなみに氏は2006年に亡くなっている)

あ!言い忘れた! 無料です(笑)


同じフロアの隣は図書館になっていて
人がたくさんいるにも関わらず
吉村昭記念文学館にはほとんど人も来ず
たまに来るのは見回りの警備員さんと迷い込んだ人ぐらい

またしても一人静かに
2時間近くじっくり見てしまった(笑)


















氏の書斎を再現したコーナーは良かったねえ(撮影OKエリア)
作家先生の頭の中を覗いているようで、、

もちろん椅子に座って机にも向かわせていただきました(笑)
やっぱり創作するなら机は広~い方がいいですな♪


















帰りは都電は使わずに
東京メトロ「町屋」駅まで散策して帰路へ

"ゆいの森あらかわ"を出て線路を渡ると
"荒川自然公園"があって周辺の桜も見事だった


















白鳥もいたし
昆虫観察園があったり(季節的に今はやってないけど)
















道端の植え込みにナゾのカセットテープが落ちていたり
(その名も「東洋ハードコア」と書いてある、、おそるべし荒川区!)
















おめえたちも文字が読めねえばっかりに、、(笑)


そんな感じで、荒川区と吉村昭氏を堪能した"労務の休日"でした♪






~余談~


行く前日に

これまた初期の名作である
『少女架刑』と『星への旅』(第2回太宰治賞受賞)を
ちょっと慌てて読んで出かけたのだけれど

完全フィクションの物語でも
その視点の凄さには毎度おったまげる

どういう視点で発想するんだ、このお方は!? という


それでいて奇をてらっただけのアイディア一発ネタのような話にはならず
きちんと重厚な、そしてある種 品のある小説に仕上げられている

それもひとえに描写力や取材力などを駆使した
精密な組み立て方・構成力の賜物なのであろう
(もちろん発想の妙がすべての基にはなっているのだろうが)



今回の展示を見て次に読みたいのが決まった
(買ってまだ読んでないのが数冊あるので"次の次"だが)

『海も暮れきる』(俳人尾崎放哉を描いた作品)
『殉国』(沖縄戦に駆り出された少年たちの物語)


吉村昭の世界に沼る私(笑)

皆さんもどうです?


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