松本清張『ミステリーの系譜』
数日前に読了したのがこちら♪
松本清張
『ミステリーの系譜』 / 中公文庫
"初"の松本清張!
なんかネットを巡ってたら発見してしまったので(笑)
興味が湧いてゲット
十八番の推理ものではなく
よりにもよってハードそうなドキュメンタリーな作品を(笑)
3編を収録した1冊になってまして、、
一夜のうちに大量殺人を犯す「闇に駆ける猟銃」、継子の娘を殺し連れ子と「肉鍋を食う女」など、人間の異常に挑む、恐怖の物語集。〈解説〉権田萬治
― 中央公論新社ホームページ紹介文より
「津山三十人殺し」(昭和十三年)、
「群馬連れ子殺人・人肉食事件」(昭和二十年)、
「鈴ヶ森おはる殺し事件」(大正四年)。
犯罪史において語り継がれる三つの事件に、戦後を代表する推理小説家が迫る。日常生活に潜む恐怖、人間心理の不条理さを追究する戦慄のノンフィクション。
― 本書裏表紙の紹介文より
誰だ? 昭和が良い時代だったなんて言ったヤツは?(笑)
、、と、言いたくなるぐらい
過去には様々な事件があったんですな
例えば、1つ目の「闇に駆ける猟銃」
横溝正史の小説で、
映画化・ドラマ化もされまくって、有名過ぎる『八つ墓村』
あの話には
モデルとなった、実際の事件があって、、
1938年(昭和13年)5月21日未明
岡山県苫田郡西加茂村大字行重(現在の津山市加茂町行重)の
貝尾・坂元両集落で大量殺人事件が発生
集落の住民であった21歳の男が
一晩にして住民30人を殺害するという
戦後犯罪史の中でもずば抜けて凄惨な事件
それが、実際に起こった「津山事件」
(「津山三十人殺し」、またの名を、犯人の名前を取って「都井睦雄事件」)
『八つ墓村』のモデルともなったことで
一般的な知名度も決して低くはないであろう事件
(もちろん私もおおよそは知っておりました)
(もちろん私もおおよそは知っておりました)
その全貌を、
松本清張さんが緻密な取材と比類なき筆致で
読者の目の前に映し出してくれます
当時、山村の集落にはまだ色濃く残っていた閉鎖性や風習
"狂気"のひと言では片付けられないほど綿密・計画的だった犯行
「津山三十人殺し」を知るには
これを読むだけでも十分じゃないかな?
他の2編にしても
"継子の娘を殺し、連れ子と「肉鍋を食う女」" であったり
(パンチ強過ぎだろ 笑)
まだまだ容疑者取り調べでの拷問・自白強要が盛んに行われていたであろう大正時代の
"真犯人が2人出ちゃった事件" の裁判の記録を基にした話であったり
凄惨な事件ではありながらも
人間の性(さが)だったり、人間の暗部だったりを
考えさせずにはいられないような
そんな 読み応えのある話になっています
(「鈴ヶ森おはる殺し事件」を扱った「二人の真犯人」はちょい冗長な気もしたりしました 笑)
こういう作品に対して
面白い♪
と言っていいものか、憚られる気がするけれども
2日くらいで一気に読んでしまったってことは
やっぱり面白かったってことなんだろう
濃過ぎる割りには
サッと読める作品でございます
清張さんの筆致が冴える1冊
残暑のさなかにどうざんしょ? いかがでしょう?(笑)
Comments