ねぷた旅 7 ~絶景露天風呂~


私は「ウェスパ椿山」に降り立った
その時 私はかくも素晴らしい景色に出会えるとは
思ってもみなかった

その駅は観光用に作られたのであろう駅で
列車から降りると駅長(駅員?)のお姉さんがひとり
わざわざ出迎えてくれた
お姉さんは「リゾートしらかみ」が到着する度に駅に立つのだろう


駅前の広場にはSL機関車が保存展示されていたり
土産物屋をはじめ ガラス作りの体験館や昆虫館
宿泊用のコテージなどが点在している
振り返れば駅の向こうでは展望モノレールが
山を駆け上がっていくのが見える
山の端からは数基の風力発電プロペラが覗いていた
きっとあの山の向こうは白神山地へ続いているのだろう

振り向き直すと
道はなだらかに下って日本海の方へ向かう
その道すがらにはレストランがあり
さらに行った突き当りには私の目指す露天風呂がある
見るだけなら10分20分で見て回れてしまうような そんな所だ


帰りの列車の時刻は16:05発
それまで4時間半以上ゆっくり滞在できるわけだ
私は土産物屋の外のベンチに腰を下ろして
買って来てあったコンビニのパンを食べた
ひと息入れた後、ガラス工芸館をのぞき
昆虫館も見てみようと思ったが有料とのことでやめておいた
なぜならもの凄く見たいわけでもなかったから


よし、露天風呂へ行こう
それがこの駅へ来た目的だから

そう思い、私は日本海へ足を向けた

照り付ける陽射し
誰もいない夏の道
蝉が鳴いている

蒸し暑いけれども海からの風で不快さはない



露天風呂だ

HPで見た通りだ
こじんまりしていていい感じだ

建物の前は広い駐車場になっていて
1台2台が停まっているだけ
その空き具合から今はお客がいないのが想像できた
平日の昼間ということもあってか時々地元の人が入りに来るくらいのようだ


時間もたっぷりあるしすぐ入ってもなんだから
近くの林の木陰で座り ぼーっと海を眺めていた

時おり車が通るだけで
誰もいない昼下がり

私はただぼーっとしていたのだ

見知らぬ地で 海風に吹かれて


ぼーっとするのに満足したので
私は露天風呂に行くことにした



正式な名前は"展望温泉"だ
中へ入る
受付のおばちゃんがいる
なんでも「リゾートしらかみ」の乗客は100円引きとのこと
おかげで400円で入ることができた

ロッカーに荷物を預け男湯の方へ

あ、よっしゃ、誰もいない

脱衣所から
湯舟へ行くと


すげーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
なんて良い眺めなんだーーーーーーーーー!!


私は心からそう思った


開かれた開閉式窓の向こう
雲ひとつない青空
見渡す限りの水平線
隣の女湯からは母親たちと子供たちのはしゃぐ声が聴こえる

ここはちょうど崖の上に建っているので実に開放的だ
海の彼方に小さな船が見えるがもう私は気にしない
少し露出狂の気持ちがわかる気がした

眼下右手に見える
海にせり出した小高い岩場のような山が「椿山」だそうだ
よく見ると中腹に道があり小さな鳥居が見える
崖の下から歩いて行けるのだろうか


海は広い~な 大きい~な

まさにそのような気分だった
「メイビー風光明媚かもしれない」という私の予感は
予想以上の良さという結果をもって的中したわけだ

温泉なんて数えるくらいしか訪れたことはないが
「ここは日本一の絶景露天風呂だ!」と早急に決断を下してもいいように私には思えた

極楽とはこのことか、とさえ


長いこと入っていたら結構な大きさの蜂が向かって来て
慌てて湯に頭ごと潜ったら湯は海が近いせいか少ししょっぱかった
普段そこまで蜂が怖いタイプではないのだが、フリチンの私に勝ち目はない

その失態を見られてはいまいが、その後別の客が一人入ってきたので
もはや心ゆくまで温泉を堪能した私は風呂を上がることにした


建物内にはくつろぐスペースが設けられていて
そこから見える景色も風もまた素晴らしいものだった
私はソフトクリームを買い求めた
それは自然の欲求だった

ペロペロペロリッ!


私はソフトクリームを味わうと同時に
"時間"を味わっていたのだ

"贅沢"という時間を


私はおばちゃんに別れを告げ
遅めの昼飯にすることにした
おばちゃんの返事が「あら、アナタまだいたの?」的に感じられたが
きっと気のせいであろう



~つづく




---



書き出したら小説みたいになって
写真を混ぜるとリズムが崩れそうだったので
以下、並べた写真でご想像を膨らませ下さい









遠くに見える土産物屋と山の上のプロペラ


夏の道 お城のような建物はレストラン


露天風呂が見えてきた
建物の向こうは日本海




木陰でぼーっ と



海を見たり

、、、ん?

 
あ、なぜかこんなところにモヤイ像
ぼーっとしてるところ見られたかな


んで温泉へ

さすがに浴場からの写真は撮れないから
こちらは風呂上りでくつろいでるところ

この写真の窓の左側に浴場があって同じ景色が見られる
何も邪魔するもののない大パノラマが



吹き抜ける風が気持ちよくて いい感じ





写真だとこじんまりだけど
結構大きい「椿山」

天国は椿山にあった!



これ、YouTubeにあった展望風呂の動画
埋め込んどきます



右に見えるのが「椿山」
自分が入った時ははじめから窓全開でした

びゅーちふぉー!
この景色が独り占めなんだぜ?
最高とはこのことだぜ!


いやあ、ほんと良かった




~つづく



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