小山ゆう 『がんばれ元気』
長編漫画はなかなか読み返すこともないけれど
おそらく3度目の『がんばれ元気』
先月7月半ばに読破!
ボクシング好きの間では
『あしたのジョー』と並んでファンが多いであろう
小山ゆう先生の、語り継がれる
ボクシング漫画の名作『がんばれ元気』
1976年から1981年にかけて『週刊少年サンデー』で
連載されてたそうだから、ちょうど私が生まれた頃の漫画だ
ボクシング漫画において
『あしたのジョー』に比肩するだけでも凄いことなのに
もしかしたら感動や面白さでは上回っているかもしれない
読み終わって、そんな風にも思えた
"大人になっていくこと" や "青春" にも焦点を当てているから
矢吹丈とはまた違う"等身大の生々しさ"があるんだな
それもひとえに
小山ゆう先生の絵の素晴らしさのなせるワザで
その卓越した内面描写・心理描写
生き生きとした内面・感情の伝わってくる人物描写力
に脱帽だ
登場人物たちの
魂の燃やし具合・完全燃焼具合は
ジョーに匹敵するほどだな
いや、それ以上かもしれない
あと、メインのキャラクターはもちろん
川谷さんや2代目会長が良い味出してんだよなあ
良い脇役たちが物語に深みを与えている
夢と青春の物語であり
愛と青春の物語であり
それもほろ苦い
栄光と挫折の群像劇
本当に欲しかったものを
手に入れられた人、手に入れられなかった人
また、それとは別のもので達成感・満足感を得られた人
それぞれの想いを胸に
人生は続いてゆく
、、そんな物語ですな♪
読者の期待するストーリー
その重圧(プレッシャー)から逃げることなく描き切った
小山ゆう先生の健闘に拍手!!("拳闘"だけにね笑)
ここまで心を揺さぶってくれる漫画もそうない
忘れた頃にまた読もっ!
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★以下、最後まで思いっきりネタバレなのでご注意下さい★
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色んな角度から、様々に分析できる漫画だとは思うけど
"夢がかなったかどうか?"
で見ていくと
本当に夢がかなったのは
おじいちゃんおばあちゃんだけかもしれない
なんていう風にも、読み終えてふと思った
・会長の親父(初代会長)
生きて元気の関戦を見られなかった
・現会長
元気が防衛戦をしてくれなかったので思ったように稼げなかった
・川谷さん
プロの試合で1勝もあげることができなかった
・のぼる
元気と闘うことができたけどやっぱり勝てず、応援してくれる仲間たちの期待に応えられなかった
(本人としては"元気くんに勝つ"よりも"元気くんと闘う"だったから満足だったとは思うけど)
・三島さん
元気に夢を託せたものの、芦川先生を幸せにすることができなかった
・芦川先生
三島さんと結ばれることができなかった
・とも子ちゃん
元気に振り向いてもらえなかった
・岡村
念願の東大に入れたものの、自分の限界も見えたりと葛藤する
(とは言え、持ち堪え直して官僚への夢にまた燃えている)
・火山
元気によってボクサー生命を絶たれ、世界チャンピオンにはなれなかった
(しかし、これも"のぼる"と同じく本人は満足だったはず)
・関拳児
元気に勝つことができなかった
(これまた同じく本人は満足して引退したのだろう)
芦川先生を手に入れることはできなかった(と思われる)
・北さん
最後の最後で大学合格を果たしたものの、夢の学生生活は送れず故郷へ帰る
・父ちゃん
世界チャンピオンになることができなかった
・元気
悲願の世界チャンピオンになれたけれど
(それ以上の夢だったかもしれない)芦川先生とまだ一緒になれていない
・おじいちゃんおばあちゃん
物語の最後の最後で、最愛の元気が帰ってきてくれた!!
そうそう、
"夢をかなえた"と言ってもいい人たちがもう一組
・露木さんと海道
お互い死地を見つけたと言ってもいい
ボクシングの世界にその生涯を捧げることができた
ネガティブな方向の願いだったかもしれないけど
これは夢を達成したと言えるんじゃないだろうか?
読んでて「あれ?」と思ったけど
最後のクライマックス編での回想シーンとかで
この2人がまったく出てこなかったのは
夢をかなえた人たちだったからなのか!?
(それとも小山先生の描き忘れ?(さすがにそれはないか笑))
といった感じで
"夢かなった人"たちと
"夢破れた人"たち
そんな目線で読んでも
また深みのある群像劇が味わえる
その辺も、何度読んでも面白い
名作たる所以(ゆえん)でございましょう♪
夏休みの読書感想文は、以上な~り~(笑)
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