社葬




『社葬』 1989年
緒方拳 主演
 
大手新聞社を舞台に繰り広げられる役員どもの下剋上の戦い!
社長の女遊び中の腹上死によっその熾烈な戦いの火ぶたは切って落とされた!
会長派と社長派の争いに巻き込まれる一匹狼の緒方拳!
各人の思惑をよそに社長の社葬に向けて物語はクライマックスへ!
 
 
といった粗筋ですが、楽しめました。(笑)
石坂金田一の名刑事役でも出ていた、加藤武さんはいい役者さんだなあ。
あと江守徹もナイス演技。
もちろん主演の緒方拳の広島弁も。
サラリーマン社会の「仁義なき戦い」といったところですな。
 
 
で、言葉でなんとも説明できないんだけれど
俺、この頃の邦画の感じが何とも好きなのよね。
おそらくバブル崩壊以前の邦画。
映っている風景もそうなんだけれど、画面全体から漂ってくる雰囲気というか。
 
『教祖誕生』とか『集団左遷』とか初期の北野武映画とか。
まだ見たことないけどたぶん伊丹十三あたりもそんな感じだろうという気がする。
なんかあの頃のサラリーマンの感じとかオフィスの感じやビルの壁や街のデザインの感じとかが
いいんだよなあ。昭和から垢抜けきれてないところかな?
それかフィルムであることや、邦画の受け継がれてきた撮影技術やセンスなのかな。
現場の人が積み重ねてきた丁寧な技術。金があった時代だからか?
例えバブリーな浮かれたシーンを撮っても、今の映画ほど映像が軽くない。
とにかく今の映画とは画(え)が明らかに違うよね。
(まあでも80年代の人が60年代の映画を見たら同じようなことを思ったのかもしれない)
 
 
1991年頃のバブル崩壊あたりを境に邦画の質(映像センスも)が
ガラッと変わってしまった(ガクッと落ちた?)ような気がするが、
そんなにたくさんの邦画を見ているわけじゃない(笑)ので、
その辺はこれからゆっくりのんびり検証していこう。
 
たぶん予算の都合もあるだろうが、予算のなさを演出やカットでごまかそうとしてちゃっちくなってしまったような?
全部がTVドラマみたいになっちゃったって言うと身も蓋もないが。
 
" ちゃんとした映画"というものが確かにあったということだ。

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